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こんばんは、おかのです。
今日は小説です。
『めぐらし屋 』堀江敏幸 (毎日新聞社)
仏文学者である著者の手になる小説。
堀江さんは結構好きでこれまでもいろいろ読んでいます。
最初に出会ったのは、長編小説「河岸忘日抄 (新潮文庫 ほ 16-3) 」
今手元に無いので少々あやふやですが…
この長編はフランスのある河岸に係留された船で暫く暮らすことになった
主人公の日々のつつましい暮らしが、ミステリの古典・クロフツの『樽』と一緒に
流れていく様子を静かに綴った小説です。
起伏が少なく且つ長い小説のため、最初は少々読みづらく感じたのですが、
そのぼんやりとした空気感がクセになり、雰囲気に浸りたいために二度続けて
読んだことを覚えています。
毎日ベッドで読んでいて、睡眠導入にもぴったりでしたw
この本の影響で『樽』も読みました。
『樽』はミステリーの古典といわれているようです。
破損した怪しい樽から覗くのは、美しい白い女性の指…
フランスとイギリスにまたがる殺人事件を刑事が地道な調査で
じわじわと解決していきます。
派手な読ませる文章ではないけれど、刑事たちの実直な様子が
読んでいて心落ち着く素敵な小説です。
で、やっと本題。
「めぐらし屋」は蕗子という女性が、亡くなった父親の部屋を片付けるところから始まります。
「めぐらし屋」とタイトルされたノート。
その表紙の裏には自分が幼いころ描いてプレゼントした黄色い傘の絵が貼り付けられ、
几帳面な父の字でたくさんのメモが残されている…
そして「めぐらし屋」あてに掛かってくる電話。。。
父は生前何をしていたのか、どんな人物だったのか?
それを娘は探していきます。
とっても面白い小説で、おっとりとした蕗子さんもすてきだし、
気圧の変化に敏感な年下の重田君もいい味出してます。
自分的にはエンディングの先が気になる小説でした。
ほんの外ではどんな物語が続いているのでしょう…??
静かでほのかにあったかい小説です。